研究概要

 

健康維持 < 腸内細菌の機能開発 >

 

腸管内脂質代謝の解析と応用

 

腸内細菌の数は、ヒトの体細胞数60兆に対し100兆を超えるとされ、その種も100種を超えると言われている

 

人間の身体にはあらゆる場所にあらゆる微生物が存在しており、その数はヒトの体細胞数の10倍を超えることが分かっています。


これらの微生物が存在する事により、病原菌が体内に侵入しにくくなるなど、人体に様々な影響を与えてくれています。

特に、腸管内においても、非常に多くの微生物(腸内細菌)が存在しており、ヒトが消化できないものを腸内細菌が分解しヒトが利用しやすくしてくれたりしています。


近年、腸内細菌と宿主であるヒトとの間に、非常に興味深い関係が示唆されつつあります。

我々は、腸内細菌と脂質の関係に着目し、乳酸菌を初めとする腸内細菌の脂質代謝について研究を行っています。


 

ルーメン細菌と乳酸菌におけるリノール酸代謝の違い

 

反芻動物であるウシの腸管から単離したルーメン細菌Butyrivibrio fibrisolvensは、右の図の青矢印で示すような経路でリノール酸を代謝すると考えられていますがその詳細は分かっていません。


我々は、リノール酸を代謝する乳酸菌を探索し、Lactobacillus plantarum AKU 1009aを選抜しました。

本菌は、生理機能を有する共役リノール酸(CLA)を中間体とする複雑な経路にてリノール酸を代謝する事を世界で初めて明らかにしました。


さらに、本菌のリノール酸代謝に関わる酵素の取得を試み、ユニークな酵素を数多く取得しています。


 

腸内細菌脂質代謝産物の機能評価 / 脂質代謝・免疫調節・炎症抑制

 

我々が選抜した乳酸菌や嫌気性細菌を用いることにより、様々な共役脂肪酸を生産する事が出来るようになりました。


また乳酸菌における共役脂肪酸生産に関わる代謝は、多種多様な希少脂肪酸を経由している事を明らかにしました。


今後、生産可能となった脂肪酸を用いて生理機能評価を行い、腸管内微生物の脂質代謝機能を活用した腸管内脂質代謝制御を目指します。


これらの成果から、肥満等の生活習慣病の予防、抗炎症、免疫制御に資する素材、技術の開発を目指しています。

 

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