これまでの研究概要

 

<糸状菌による有用油脂類の生産と分子レベルでの解析>

 

アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA:プロスタグランジンの前駆体)などの高度不飽和脂肪酸を、医薬品や機能性食品として利用する動きが最近活発化しているが、これまでその豊富な供給源は知られていなかった。微生物界にその給源を求め探索した結果、Mortierella属カビが、アラキドン酸を著量生産することを見出した。さらに、培養条件の制御や変異株の育種により、ジホモ-γ-リノレン酸やEPAなど様々な高度不飽和脂肪酸の選択的な生産も実現した。これらは10,000リットル培養装置で実用レベルの生産実験を行っている。また、新たな機能性油脂の生産を目指し、様々な微生物の探索をさらに行っている。さらに、高度不飽和脂肪酸生合成に関与する酵素および遺伝子レベルでの解析も進めている。

 

Mortierella alpina 1S-4における高度不飽和脂肪酸生合成経路

 

Δ9, Δ12, Δ6, Δ5, Δ17はそれぞれの位置の不飽和化酵素を示す。

また、ELは鎖長延長酵素をを示す。

 

寒天平板培地上でのMortierella属糸状菌のコロニー形成

 

Mortierella属はMortierella (A)とMicromucor (B)の2亜属に分けられる。

Mortierella亜属の菌株は平板培地ではバラの花のように美しいコロニーをつくる。この亜属はすべてアラキドン酸など炭素数20の脂肪酸を生産するが、Micromucor亜属は炭素数18以下の脂肪酸しか生産しない。

 

(A) Mortierella alpina 1S-4

(B) Mortierella isabelina CBS 194.28

 

テトラゾリウム塩を含む寒天培地上でのMortierella属糸状菌の生育

 

(A) Triphenyltetrazolium chloride (TTC)を含む培地にM. alpina 1S-4を生育させると菌糸中に油脂が赤く染まり、油脂の著量蓄積が観察できる。

 

(B) 同じ培地で生育したM. isabellina CBS 194.28

 

Mortierella alpina 1S-4の菌糸中に蓄積した油滴

 

液体培地で生育したM. alpina 1S-4をTCCで染色すると、菌糸中に蓄積した無数の油滴が観察できる。

 

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